エステティシャンとして肌に触れ、自律神経ケアセラピストとして心の揺らぎに寄り添う日々の中で、ひとつ感じていることがあります。
最近、スキンケアを丁寧にしているはずなのに「なんだか肌が疲れて見える…」
そんな違和感を覚える日、ありませんか?
化粧水、美容液、クリーム、オイル、導入液、パック……。
気づけば「やっていること」は増えているのに、鏡に映る肌が追いついていない。
もしかしたらそれは、肌が望んでいる以上のことを、頑張りすぎている合図なのかもしれません。
わたしはエステティシャン歴14年。
5000人以上の肌悩み相談を受けてきました。
記事前半では「たくさん使えば安心」ではない理由を、後半では「スキンケアに必要な3つのこと」をご紹介していきます。
「たくさん使えば安心」ではない理由

エステサロンには「スキンケアはこだわっていろいろ使ってます!」タイプのお客様と「とくにこだわってないです」タイプのお客様がいます。
とうぜん前者のほうが肌がキレイなイメージがあると思うんですが、実は違うんですね。
わりとシンプルケアほうが肌がキレイだったりするんです。とはいえ、基本的なやり方ができている人ですけど。
それを踏まえて、「たくさん使えば安心」ではない理由を3つ解説していきますね。
理由1:肌への摩擦が増える
スキンケアの工程が増えるほど、肌に触れる回数も自然と増えます。
やさしく触れているつもりでも、回数が多いと摩擦は蓄積し、肌がこわばりやすくなることがあります。
お肌の声
(そんなに触らなくて大丈夫だよ…)
(ちょっと休ませてほしいな…)
こんな声が聞こえてきそうなほど、肌は静かな刺激に敏感です。
例えば、化粧品を2アイテム使う人と5アイテム使う人の場合、使う数が多いほうが肌を触る回数が増えるので、かなり摩擦に気をつけないと肌にダメージを与えてしまうことに。
なので、スキンケアでの「触りすぎ」で肌状態が変わってくるんですね。
理由2:洗いすぎ・触りすぎの落とし穴
「汚れはしっかり落としたい!」「毛穴をきれいにしたい!」
その気持ちはとてもよくわかるのですが、「落とすケア」のやりすぎは、自律神経の緊張を高めることもあります。
肌が必要な皮脂まで流され、無防備になった状態は、心身でいえば「休めない状態」と似ています。
この負担が続くと、肌が乾燥しやすくなり、硬さ・赤み・ごわつきとして現れることがあります。
丁寧に洗おうと思って時間をかけたり、マッサージまでしてませんか?
洗顔ブラシで丁寧に洗ってるお客様もいたので、やめてもらったこともあります。
手早く洗う人のほうが意外とトラブルも少ないし、朝もぬるま湯だけって人もいますね。まぁ、肌状態しだいではありますが。
とにかく「肌はキレイに洗わなきゃ!」と思い込んでいる人は要注意です。
理由3:保湿ばかりに頼る
また、乾燥が気になって「重ねる保湿」に走りがちですが、肌が呼吸する余白がなくなると、逆に吸収力を落としてしまうことも。
必要以上に多くのアイテムを重ねる行為は、肌にとって「常に話しかけられている」ような状態。
「スキンケアって保湿が大事!」って言いますよね。それは正解なんですが、やりすぎ保湿は肌に負担をかけるんです。
ときどきは 静かな時間 を与えることが大切です。
やりすぎが招く、具体的な5つの行動

スキンケアのやりすぎは肌への負担になる理由がわかったところで、今度は具体的にどういう行動がやりすぎなのかを紹介していきます。
あなたの普段のスキンケアと照らし合わせてみてくださいね。
- クレンジングや洗顔に時間をかけすぎる
- 角質ケアを頻ぱんにする
- 化粧品をたくさん重ねる
- パックの時間が長い
- 美容グッズの使いすぎ
上記の項目に、あなたはいくつ当てはまりましたか?
理由を1つずつ説明していきますね。
クレンジングや洗顔に時間をかける
顔の汚れをキレイに落とそうと思って、「洗浄力の強いクレンジングや洗顔料でじっくり洗う」「ゴシゴシ洗う」人は要注意です。
「汚れを落としたい」と丁寧にしすぎて、逆に皮脂を奪ってしまうことがあります。
例えば、洗浄力が強いといわれるオイルクレンジングもこすらずサッと落とせば、肌に負担をかけません。でも、時間をかけてクルクルやってると肌にダメージが。
「洗浄力の強い洗顔で肌に必要な皮脂をとる」「肌の摩擦」で一気に肌の乾燥が進みます。
洗顔料でわかりやすいのが、洗った後に肌を触ってキュッとなる感じ。これは洗いすぎです。肌がつっぱる人はすでに乾燥が進んでいますよ。
洗顔後の肌は、しっとりしているが正解。
角質ケアを頻ぱんにする
肌のゴワつきやザラつきが気になって頻ぱんに角質ケアをするのもやりすぎです。
肌をつるんと整えるのは気持ちがいいもの。でも、やりすぎると防御力が落ちてしまいます。
そもそも角質がたまる最大の原因は、「乾燥」なんですね。乾燥した肌を守ろうとして、角質がどんどん厚くなっていくという仕組み。
実際にあった事例ですが、フェイスラインがザラつくといってピーリングをされていた方に、角質ケアをやめてクリームを重ね付けするよう提案したところ、ザラつきがおさまったんですね。
大事なのは、普段のスキンケア方法を見直すこと。
角質ケアは毎週やるものではなく、最低1ヶ月に1回くらいでいいとわたしは思います。
化粧品をたくさんつける
乾燥が心配で、アイテムを3〜5種類以上重ねていませんか?
化粧品のつけすぎも肌への負担になる場合があります。ここで言うつけすぎは、「量と数」のことです。
まず「量」ですが、基本的に化粧品の使用量には適量があります。勘違いしている人が多いんですけど、毎日たくさんつければ効果が出るってものではないんですよ。
あと、使うアイテム数が多ければ多いほど効果が出るというのも間違い。
わたしたちが普段ケアしている肌は、角質層といわれラップ1枚程度の厚さしかありません。そこに大量の化粧水をつけてさらにパックをしても、浸透できる量は少しなんです。美容液やクリームも有効成分が浸透するのも角質層まで。
塗れば塗るほど本来の肌の水分と油分のバランスが崩れて、肌トラブルになってしまうんですね。
大事なのは、自分の肌状態に合わせた使い方をすることです。
パックの時間が長い
これもけっこうよく聞くやりすぎスキンケアの1つ。
「長くした方が効果がありそう」と思いがちですが、逆に乾燥することも。
パックの時間はメーカーによりますが、ちゃんと決まってます。
でも、お客様に聞いてみると「長いほうがいいんでしょ?」「いつも適当よ。」っていうまさかの答えが多いこと!
パックの時間は守って使ってくださいね。
手軽なコットンパックもおすすめ。コットンにいつも使ってる化粧水をつけて、気になる部分に1〜2分貼っとくだけ。The時短パック!
美容グッズの使いすぎ
美顔器やローラーも「過ぎる」と刺激に。肌が疲れを感じることもあります。
例えば、美顔ローラーは使い方さえ間違えなければ、効果はあります。ただし、使う方向や力のかけ方に注意が必要。ほとんどの人がコロコロする力が強すぎます。
「強さの正解がわからない!」という人は、顔を直接ケアするんじゃなく、フェイスラインや首、デコルテ・頭皮など少し離れた場所をケアするのがおすすめ。
他の美容グッズもそうなんですけど、「こすらない」「強くしない」「やりすぎない」を徹底しましょう。
すべての共通点はひとつ!
「よかれと思って頑張りすぎてしまうこと」
「ゆるめる美容」が整える鍵になる理由

ここまでで、スキンケアやりすぎは肌にマイナスだとわかったと思います。
肌も、自律神経も、リズムが大切
スキンケアは、ただ「やる」ものではなく、呼吸の深さ・触れ方・気持ちの余白によって、吸収されるエネルギーが変わります。
肌の状態は自律神経のリズムに強く影響されていて、「過剰に頑張る時間」が続くと、回復モードに入るタイミングを見失ってしまうのです。
- やさしさは肌をゆるめる
- ゆるむと、肌は本来の力を取り戻す
これは、サロンで多くの肌と向き合ってきて強く感じることです。
シンプルケアで呼吸が整う理由
ケアをシンプルにすると、工程そのものが「呼吸の時間」に変わる瞬間があります。
焦らず、急がず、ただゆっくりと手を動かしていると、自然と胸のあたりがふっと軽くなる。
この「心のゆるみ」が、肌を柔らかくし、表情の印象にまで影響していきます。
実践ヒント:今日から始める「ゆるめるスキンケア」

ここでは、私自身やお客様が取り入れて効果を感じた「ゆるめる美容」のヒントをご紹介します。
- スキンケア前に、ひと呼吸おく:鏡の前で、すこし目を閉じて深呼吸。これだけで、手の動きがゆっくりになり、触れ方が変わります。
- 肌に触れるときは「そっと」:押さえつけるのではなく、
「手を乗せるだけ」のタッチに近づけてみてください。
肌がふわっとほどけるような感覚があります。 - 完璧にしない日をつくる:化粧水+保湿だけの日。パックを「あえてしない」日。その余白が、肌のリズムを自然に整えてくれます。
ゆるめる意識に変えたら、朝の肌がぜんぜん違いました!不思議。
スキンケア時間が、癒しの感覚になりました。
肌は「やってもらう量」より、「どんな気持ちで触れられるか」のほうを受け取っていますよ。
こうした言葉をいただくと、美容はテクニックだけではなく、その人の「心の余白」とつながっていると感じます。
おわりに:整える美容=自分をいたわる時間

スキンケアは、頑張れば頑張るほど結果が出るものではありません。
むしろ、余白やゆるみの中にこそ、肌が深呼吸できる瞬間があります。
「ゆるめる美容」は、サボることではなく、自分を大切に扱う選択。
今日のケアが、あなたの肌と心をそっと整えますように。
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